ショッピングのリボ払いを任意整理するとその商品はどうなる?

借金の返済が困難になった場合には、任意整理の手続きを行うことで毎月の返済額を少なくし、生活を安定させることが可能です。

任意整理とは、弁護士や司法書士に依頼して代理人となってもらい、債権者との間で債務の減額や利息のカット、残債務の分割弁済を協議する債務整理手続きの一種のことをいいます。

任意整理の手続きは、債務者と債権者の間で債務の返済について協議する示談交渉の場に過ぎませんので、債権者が交渉に応じる限り、どのような債務であっても手続きの対象とできる利点があります。

この点、リボ払いで商品を購入した場合の支払についても債権者は任意整理の交渉に応じるのが一般的ですから、クレジットで商品を購入した際に返済をリボ払いに指定したものの返済が行き詰まった…という場合などにおいても任意整理で処理することは可能です。

もっとも、クレジットのショッピング枠で商品を購入し、その支払いをリボ払いにしているケースを任意整理する場合には、その購入した商品がクレジット会社に引き揚げられてしまうことがあるので注意が必要です。

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購入した商品は原則としてクレジット会社に引き揚げられるのが原則

クレジットで商品を購入しリボ払いにしているものを任意整理で処理する場合には、その商品は債権者であるクレジット会社(もしくは販売店)に引き揚げられるのが一般的です。

クレジットで商品を購入した場合は、その支払いを一括払いにしていない限り、その商品の「所有権」がクレジット会社に「留保」されるのが一般的な取り扱いです。

商品の「所有権」がクレジット会社に「留保」されるとはどういう意味かというと、商品の代金が全額支払われるまでの間は、その商品の所有権は購入者ではなく代金を立て替えたクレジット会社に据え置かれるということになります。

たとえば、クレジット会社Xのショッピング枠で冷蔵庫を購入したAさんが、その冷蔵庫の代金の支払いを一括払いではなくリボ払いにしていたとすると、その商品である冷蔵庫はすぐにAさんのもとに届けられ、Aさんが「Aさんのもの」として自由に使用することができますが、Aさんがリボ払いでその代金を完済させるまではその冷蔵庫の「所有権」はクレジット会社Xに「留保」されることになり、Aさんが代金を完済するまでその冷蔵庫の真の所有者はクレジット会社Xにあることになりますので、Aさんが代金を完済するまではAさんはクレジット会社Xが所有している冷蔵庫を「無償で借りて使用している」状態になるのです。

このように、クレジットで商品を購入し、その代金の支払いをリボ払いにしている場合には、リボ払いが完済されるまではその商品の所有権はクレジット会社にあることになりますから、リボ払いが完済されるまでの間は、クレジット会社の方でその商品を自由に処分できることになります。

この点、クレジットで商品を購入しその代金の支払いをリボ払いにしている状態で任意整理の手続きに入った場合には、「その代金が契約通り返済されない」ことを意味しますので、クレジット会社は当然、その商品を引き揚げることになります。

任意整理の手続きを行うということは、仮に任意整理の手続きで残債務を分割弁済する和解が整ったとしても、債務の減額や利息・遅延損害気をカットした金額だけが返済されることになるのが通常であって、その商品の代金全額が支払われるわけではないからです。

クレジットの代金が完済されるまではその商品の所有権はクレジット会社にあるわけで、任意整理の開始によってその代金の支払いが契約通りなされないことが確定するわけですから、代金を契約通り支払わない顧客に対して、それ以上商品を使用させる意味はありません。

そのため、クレジット会社は商品を引き揚げることになるのです。

クレジット会社に引き揚げられた商品は、クレジット会社の方で中古品市場で売却され、その売却代金が商品代金の返済に充当されてそれでもなお残る債務が任意整理の手続きで分割弁済の対象となることになります。

例外的にクレジット会社が引き揚げない場合

前述したように、クレジットで商品を購入しリボ払いにしているものを任意整理の対象とした場合には、その購入した商品の所有権はクレジット会社に留保されるのが一般的ですので、任意整理を開始した時点でその商品を回収し、売却されてしまうのが通常の取り扱いです。

もっとも、リボ払いで商品を購入した場合であっても、任意整理を開始する際に全ての商品が引き揚げられてしまうわけではありません。

債権者が引き揚げても売却することができないような商品については、商品代金が完済されるまで所有権を留保する意味がありませんから、購入と同時に所有権が購入者に移転する場合もあります。

例えば、食品などの場合は衛生の面を考えるとクレジット会社が回収して転売することもできませんから、食品をクレジットで購入しているような場合には、任意整理したとしても債権者に引き揚げられることがないのが一般的です。

また、犬や猫などペットをクレジットで購入してリボ払いにしている場合なども同様で、いったん顧客ので飼われ始めたペットを、返済がストップしたからと言って債権者が引き揚げて転売することもできませんから、ペットをクレジットを購入してリボ払いにしている状態で任意整理の手続きを開始したとしても、そのペットが引き揚げられることはないのが一般的といえます。

最後に

このように、商品の性質によってはクレジット会社が引き揚げない場合もありますが、商品をクレジットで購入しその支払いを一括払いにせずにリボ払いにしている状態で任意整理を開始してしまった場合には、その商品はクレジット会社(又は販売店)に引き揚げられてしまうのが原則です。

任意整理をした場合には、信用情報機関に事故情報として登録されてしまうなど任意整理一般のデメリットが生じることになりますが(※詳しくは→任意整理した場合のデメリットとは?)、クレジットで商品を購入している場合にはこのようにその商品が引き揚げられてしまうというデメリットがある点についてもあらかじめ認識しておく必要があるといえます。