任意整理をする債権者からクレジットカードの発行を受けている場合、そのクレジットカードは債権者に返却しなければならず、以後の使用は禁じられてしまいます。
また、任意整理することによって信用情報機関に事故情報として登録されてしまうことになりますから、仮に任意整理の手続きを問題なく終了できたとしても、その任意整理の手続き後に新しくクレジットカードを作成することはできなくなってしまうでしょう。
このように、任意整理の手続きはクレジットカードの保有に大きな影響を与えることが懸念されますので、任意整理を希望している人の中には「クレジットカードを残したまま任意整理することはできないだろうか?」と思い悩む人が多くいるのも事実のようです。
では、任意整理の手続きを取りつつクレジットカードを残すことは出来ないものなのでしょうか?
クレジットカードを発行している債権者を任意整理の手続きから除外すればその会社のカードは任意整理後も使用できる
自己破産や個人再生などの手続きと異なり、任意整理の手続きは全ての債権者を手続きに含めて処理することが法律で義務付けられているわけではありませんから、特定の債権者だけを除外して手続きを進めることも可能です。
そのため、クレジットカードが使用できなくなったら困る場合には、そのクレジットカードを発行している債権者だけを任意整理の手続きから除外して、他の債権者だけを任意整理の手続きで処理することを考えた方が良いでしょう。
こうすれば、そのクレジットカードを発行している債権者に対する債務は当初の契約通り返済していくことになりますから、発行を受けているクレジットカードが回収されることはありませんし、クレジットカードが使えなくなることもありません。
また、他の債権者を任意整理で処理することによって信用情報機関に事故情報として登録されることは避けられませんが、既にクレジットカードの発行を受けているのであれば審査されることもないでしょうから、その登録された事故情報が問題になることもありませんのでクレジットカードの使用に支障が出ることもないといえます。
ただし、次の更新の際に審査で落とされる可能性がある
前述したように、任意整理する際にどうしても使いたいクレジットカードがある場合には、そのクレジットカードを発行している会社だけを任意整理の対象となる債権者から除外して手続きを勧めるしかないでしょう。
しかし、これには一つだけ問題があります。
それは、そのクレジットカードの次の更新の際に、審査で落とされてしまう可能性があるという点です。
前述したように、仮にそのクレジットカードを発行している債権者を任意整理の手続きから除外したとしても、他の貸金業者の債務について任意整理した場合には信用情報機関に事故情報として登録されることは避けられません。
そして、この任意整理した場合に信用情報機関に事故情報として登録される事項の登録期間は5年間とされていますから、クレジットカードを発行している債権者以外の債権者を任意整理してから5年間は「任意整理をした」という事実が事故情報として信用情報機関に登録され続けることになります。
そうすると、仮にクレジットカードを発行している債権者を任意整理の対象としなかったとしても、そのクレジットカードの次の更新期間が5年以内に到来してしまうような場合には、その「任意整理をした」という事故情報がクレジットカードの発行会社の更新審査の際に知られてしまうことになりますので、審査で落とされる可能性は高くなってしまいます。
仮に更新の審査で過去の任意整理の事故情報が問題にされる場合には当然、カードの更新はなされなくなりますので、その更新の時点でクレジットカードを失ってしまうことになるでしょう。
このように、クレジットカードをどうしても失いたくない場合には、任意整理の手続きからそのクレジットカード会社だけを除外すればよいですが、その場合でも次のカードの更新の際に信用情報機関に登録された事故情報が審査対象となって更新が拒否される可能性もありますので注意が必要です。