不動産担保ローンを任意整理することはできるか?

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不動産担保ローンとは、所有している土地や建物などの不動産を担保に差し出し、その不動産に根抵当権や抵当権を設定したうえで金融機関から融資を受けるローン契約のことをいいます。

不動産担保ローンが利用される理由は、債権者が不動産を担保にとることによって債権回収がある程度容易になることから、無担保の融資に比較して融資金額が大きくなる点にあります。

通常のカードローンやキャッシングでは担保がないため融資金額も数十万程度が限度額となるのが主流ですが、不動産担保ローンでは数百万円程度まで融資がなされることが一般的ですので、比較的高額の融資を必要とする事業資金の借り入れに利用されることも多いようです。

ところで、多重債務に陥っている人の中には、この不動産担保ローンを利用して金融機関からお金を借りている人もいるでしょうから、任意整理を弁護士や司法書士に依頼した場合にこの不動産担保ローンがどのように扱われるのか、気になる人も多いのではないかと思われます。

では、任意整理の手続きを行う場合、不動産担保ローンはどのように処理されるのでしょうか?

他の債務と同じように任意整理で債権者と交渉し、債務の減額などの協議を行うことは可能なのでしょうか?

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不動産担保ローンを任意整理することは可能

結論からいうと、不動産担保ローンによる借り入れも任意整理の手続きによって債務の減額や利息のカット、分割弁済の協議を行うことは可能です。

なぜなら、任意整理の手続きは、自己破産や個人再生など法律で手続きが明確に規定された他の債務整理手続きと異なり、債務者と債権者の間で債務額や債務の返済方法などの協議を行う私的な示談交渉の場に過ぎませんから、債権者側が任意整理に応じるのであればこれを否定する必要がないからです。

この点、不動産を担保に取っている債権者が任意整理の交渉に応じてくれるかという点が問題となりますが、その事案や債権者である金融機関の方針によって異なるものの、不動産担保ローンの契約であっても任意整理の交渉に応じる金融機関は少なからず存在していますから、ケースによっては不動産担保ローンについても任意整理で処理されることもないわけではありまん。

ただし、不動産担保ローンを任意整理で処理する場合には、債務の減額や利息のカット等が図れるというメリットがある反面、債権者側が担保を取っているという圧倒的な優位な位置に経っている以上、一定のデメリットも発生することになりますので、あくまでもその点を十分に検討したうえで手続きに入る必要があります。

不動産担保ローンを任意整理する場合のメリット・デメリット

(1)不動産担保ローンを任意整理する場合に生じるメリット

不動産担保ローンを任意整理で処理する場合のメリットとしては、不動産担保の債権者から不動産担保ローンとは別のキャッシングなどを利用している場合に、双方の債務を一連計算することで債務額の圧縮や利息のカットなどが交渉できることがある点があげられます。

同一の金融機関から不動産担保ローンと並行して別契約でキャッシングを利用している場合には、その不動産担保ローンの融資とキャッシングの融資は全く別個の契約として扱われるのが原則的な考え方となりますが、一部のケースでは不動産担保ローンとキャッシングを一つの契約として計算できる場合があります。

仮に不動産担保ローンとキャッシング等の契約を一つの契約として計算できる場合には、当然その利息も一つの契約として計算し直すことになりますが、その場合にキャッシングの方で法律の上限を越えた利息で貸付が行われていた場合には、利息の再計算を行うことで不動産担保ローンの債務自体も圧縮できる場合があります。

このように、不動産担保ローンを任意整理する場合には、他のキャッシング等の借り入れと一連計算をすることにより債務を圧縮することができる場合がありますので、不動産担保ローンを任意整理することにメリットが生じる場合もあるといえます。

(2)不動産担保ローンを任意整理する場合に生じるデメリット

不動産担保ローンを任意整理することで生じるデメリットの最たるものは、担保権が設定されている土地や建物などの不動産が競売に掛けられてしまう可能性があるという点です。

不動産担保ローンでは通常、土地や建物などの不動産に根抵当権という担保権が設定されるのが一般的ですが、この根抵当権を設定している債権者は、債務者が返済を怠った場合には即時に根抵当権を実行し、裁判所に競売を申立てて売却し、売却代金を債務の返済に充当することが可能となります。

この点、弁護士や司法書士に依頼して任意整理の交渉を始めるということは、返済を一旦停止して債権者と示談交渉を行うということになりますので、債権者側からすれば債務者が契約に違反して支払いを停止したということになりますから、担保権を実行して不動産を競売に掛けることができる状態になります。

もちろん、前述したように債権者となる金融機関の方針や契約状況によっては債務者が任意整理の手続きに入ってもすぐには抵当権を実行せずに任意整理の交渉に応じる債権者も多いですから、不動産担保ローンを任意整理したからといって全てのケースですぐに担保の対象となっている不動産が競売に掛けられるわけではありません。

しかし、不動産担保ローンでは債権者側が債務者の所有する不動産をいわば「人質(物質?)」に取られているのと同じで、いつ債権者が担保権を実行して不動産を競売に掛けるかわからないわけですから、どうしても債権者側に主導権を握られてしまうのは避けられないでしょう。

そのため、不動産担保ローンを任意整理する場合には、通常のキャッシングやカードローンの任意整理のように簡単には交渉が進まないことも多いですし、実際の交渉にあたる弁護士や司法書士も債権者が担保権を実行しないよう細心の注意を払う必要があります。

このように、不動産担保ローンを任意整理する場合には債権者が担保権をいつでも実行できる状態にある以上、任意整理の交渉もある程度債権者主導で進められしまうことは避けられませんので、一般のキャッシングやカードローンなどの任意整理のようには簡単に終わらないことも多いでしょう。

不動産担保ローンの任意整理を希望する場合には早めに弁護士や司法書士に相談すること

以上のように、不動産担保ローンを任意整理する場合にはそれなりのデメリットやリスクも生じてしまうのは避けられないといえます。

ですから、不動産担保ローンにかかる借金の返済が困難になった場合には、早めに弁護士や司法書士に相談し、弁護士や司法書士が余裕をもって対策を取ることができるようにしなければなりません。

仮に相談が遅くなり、弁護士や司法書士が十分に有効な対策を取ることができない場合には、債権者主導で交渉が進んでしまい、思わぬ不利益を受けてしまう可能性がありますので注意が必要といえるでしょう。