自己破産の手続中に必要な生活費はどう工面すればよい?

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自己破産の申し立てをする際に意外に気になるのが、自己破産の手続き中に必要な生活費はどのように工面すればよいかという点です。

自己破産の手続きはどんなに早くても最低半年、長ければ1年以上の期間が必要となりますから、その間の生活費が当然必要です。

しかし、自己破産の申立を行うと目ぼしい財産は全て裁判所に取り上げられるのが原則と聞きますから、自己破産手続き中に必要となる家賃や光熱費、食費等はどのようにやりくりすればよいかという点に多くの人が疑問を感じるのです。

では、実際に自己破産の申立を行う場合、自己破産の手続き中の生活費はどのように工面すればよいのでしょうか?

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自己破産の手続き中の生活費は自己破産の手続き中に受け取る給料で賄うのが基本

結論からいうと、自己破産の手続き中に必要となる生活費は、自己破産の手続き中に勤務先から受け取る給料で賄うのが基本となります。

この点、給料については裁判所に取り上げられてしまうのではないかという疑問を持つ人もいますが、それは誤りです。

なぜなら、自己破産の手続きを規定した破産法という法律では、裁判所に取り上げられる財産は「破産財団」といわれますが、自己破産の手続きにおいて「破産財団」となるのはあくまでも裁判所から自己破産の「破産手続開始の時(開始決定が出される前)」までに所有している財産に限られており、「開始決定が出された後」に発生する財産についてはこの「破産財団」には含まれないことになっているからです(破産法第34条)。

【破産法第34条第1項】

破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(省略)は、破産財団とする。

「開始決定が出された後」に発生する財産がこの「破産財団」に含まれないのであれば当然、裁判所に取り上げられることはなく申立人が自由に使用してよいことになりますから、自己破産の「開始決定が出された後」に勤務先の会社から振り込まれる給料は、その全額を自由に使用してかまわないことになります。

そして、自己破産の手続きは、自己破産の「開始決定が出された後」から開始されることになりますから、自己破産の「開始決定が出された後」、つまり「自己破産の手続き中」の生活費は、自己破産の手続き中に受け取る給料で賄うのが基本になるということになるのです。

※なお、給料の4分の3を超える金額(給料の4分の3が33万円を超える場合は33万円を超える金額)については「破産財団」として裁判所に取り上げられ債権者への配当に充てられるのが原則ですが、前述したとおり、その「破産財団」に組み込まれるのはあくまでも自己破産の「開始決定が出されるまで」に発生した給料に限られますから、「開始決定が出された後」に受け取る給料についてはその全額を自由に使用することができるということになります。

▶ 自己破産すると給料も取り上げられてしまうのか?

現金は99万円まで自由財産として保有が認められている

以上で説明したように、裁判所から自己破産の「開始決定が出された後」、つまり自己破産の手続き中に受け取る給料については裁判所に取り上げられることはなく自由に使用してかまいませんから、自己破産の手続き中の生活費は自己破産の手続き中に受け取る給料で賄うのが基本となります。

もっとも、自己破産の手続きで裁判所に取り上げられてしまう財産(破産財団)には「99万円」を超えない金額の現金は含まれません。

ですから、自己破産の「開始決定が出されれるまで」に貯金した現金がある場合には、その現金が99万円を超えない限り裁判所に取り上げられてしまうことはありませんので、その自己破産の手続きが始まるまでに貯めておいた99万円までの現金を生活費に充てることも勿論可能です。

※ただし、自己破産の手続きでは「現金」と「預金」はまったく別のものとして扱われることになっており(※「現金」は「現金」として、銀行の預金口座に預け入れている「預金」は「預金債権」として扱われます)、「預金債権」が20万円を超える場合にはその全額が裁判所に取り上げられるのが原則です。

したがって、その99万円未満の貯金が銀行に預け入れている場合には、「預金」となりますので、その貯金全額が裁判所に取り上げられることになるので注意が必要です。

「開始決定が出された後」に受け取る給料で生活が賄えない場合はどうすれば良いか?

以上で説明したように、裁判所から自己破産の「開始決定が出された後」、つまり自己破産の手続き中に受け取る給料については裁判所に取り上げられることはなく自由に使用してかまいませんし、そもそも99万円までの現金は自由財産として保有することが認められていますから、自己破産の手続き中の生活費に困窮するという状況は通常考えられません。

では、もし仮に自己破産の申し立てをするまでに一切の貯金もなく、「開始決定後」に受け取る給料も少額で生活を賄うだけの収入がない場合にはどうすれば良いかというと、その場合には生活保護を受ける他ありません。

なぜなら、裁判官は基本的に申立人の生活状況が改善し、借り入れをしないで生活ができる家計状況にならなければ免責(※借金の返済が免除されること)を出さないのが通常だからです。

自己破産の手続きでは、裁判官や破産管財人が申立人の清潔状況を厳しくチェックすることになりますが、裁判官が「免責(※借金の返済が免除されること)」を出すためには申立人の生活が改善され、借り入れがなくても生活が送れる状況になっていることが大前提となります。

家計状況が改善されない状態のまま申立人に免責を出してしまうと、家計が赤字の状態のままで再び社会生活を送ることを余儀なくされ、再び借り入れを繰り返し破綻してしまうことが容易に想定できるからです。

ですから、裁判官は申立人の家計状況が改善され家計の赤字が解消されたと認められない限り免責は出さないのが原則ですし、管財事件の場合には破産管財人が申立人を厳しく指導し、家計の改善がなされるまで裁判官に免責OKの意見を具申しないのが基本的な取り扱いとなっているのです。

もちろん、収入が少ないのであれば家計の支出を見直して生活レベルを引き下げるなどで対処することができるのが通常ですが、それでも間に合わないほど生活に窮している状況であれば、裁判官や破産管財人から生活保護を受けるよう指導され、生活保護の受給がなされない限り免責は出されないことになると思われます。

最後に

以上のように、自己破産の手続きでは自己破産の手続き中の生活も問題なく遅れるように収入や資産の保有を認めていますので、通常であれば自己破産の手続き中に生活が困窮してしまうことはないと思います。

もっとも、そのためには申立人自身が無駄な出費を抑え従来よりも生活レベルを下げて収入に見合った家計にすることが大前提となりますので、自己破産の手続き中の生活費に不安を覚える場合には、早めに弁護士や司法書士に相談し早急に生活の改善を図ることが必要と思われます。

自己破産
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