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証券口座で株取引をしている人が自己破産する場合の注意点

自己破産を検討している人の中には、証券口座を開設し株式の売買(トレーディング)をしているという人も少なくないかもしれません。

多重債務に陥っている場合には、少ない資産を少しでも増やして返済に充てたいと思うのは普通ですし、給料以外の副収入として株で資産を増やせないかと考えるのも一般的な感覚としてうなずけますから、借金を抱えた人が株取引をしているケースも比較的多く存在しているのが現実でしょう。

ところで、このように証券概査に口座を開設している人が自己破産の手続きを行う場合には、その株取引をしていること自体や、証券会社に株を保有していること自体が問題になるケースがあります。

では、証券口座を開設して株取引(トレーディング)をしている人が自己破産の手続きを行う場合、具体的にどのような点に注意することが必要なのでしょうか?

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自己破産を決意した後の株の売買は基本的にNG

自己破産の申立を検討している場合には、それ以降の証券口座における株式の売買(トレーディング)は基本的に一切停止すべきです。

なぜなら、証券口座に預金している預金(MRF※マネーリザーブファンド)や保有している株式は、自己破産の手続き上では「資産」として計上され、破産管財人が売却し、その売却代金が債権者に配当されることになりますから、これを売買して換金してしまうと、「債権者に分配すべき財産を減少させた」ものとして免責不許可事由となる可能性があるからです。

この点、自己破産の手続きを規定した破産法という法律では「財産を不当に減少させる行為」が免責不許可事由として挙げられていますが(破産法第252条第1項1号)、株式を「買う」場合には「通貨」という安全資産から「株式」という投機的な面を持つ「不確定資産」に変更されることになり、相場の状況によってはその価値が目減りする可能性は否定できません。

【破産法第252条】

第1項 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする
第1号 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
(以下、省略)

また、株式を「売る」場合にしても、「株式」を売却して「通貨」に変えるという行為は、市場で消費しにくい「株式」という資産から市場で消費しやすい「通貨」に資産の形状を変化させる行為に他なりませんから、「財産を不当に減少させる行為」に該当して免責不許可事由にあたると判断されてしまう可能性もあるでしょう。

このように、株の売買はそれが「売り」であっても「買い」であっても破産法に規定された免責不許可事由に該当する可能性がありますから、自己破産の申立を検討するようになった時点で一切の取引を停止すべきということが言えるのです。

※ただし、保有している銘柄に急激な値下がりが予測される場合には、損失の増大を防ぐ必要がありますから、そのような下落の蓋然性が高いと判断される場合には、自己破産の申立前の株式の売却や損失の確定も是認されますし、むしろ早急に売却する必要があるといえます。

もっとも、この場合であってもその売却して証券口座の預金(MRF)に預け入れられた売却益は「現金」としてではなく「債権者に分配されるべき資産」として扱わなければなりませんから、証券口座から引き出したりせずにそのままその口座に保管しておかなければなりません。

証券口座から預金(MRF)を引き出すのも基本的にNG

前述したように、自己破産の手続きにおいては、証券口座に預けられているお金(MRF)それ自体が債権者に分配されるべき資産と判断されることになりますから、自己破産の申し立てを検討する状況になっている場合には、その証券口座から引き出すことは基本的に認められません。

仮に証券口座から引き出してしまうと、前述したように破産法第252条第1項1号にいう「財産を不当に減少させる行為」と認定されて免責不許可事由に該当し、免責(借金の返済が免除されること)が受けられなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

もちろん、生活費の不足でどうしても引き出さなければならない場合であったり、その証券会社が破たんして預金が引き出せなくなる可能性があるような特段の事情がある場合は別ですが、そのような場合でない限り、自己破産の申立前に証券口座からお金を引き出すことは避けた方が良いでしょう。

所有している株式の時価総額が20万円を超える場合は破産管財人が換価して債権者に配当するのが原則

前述したように、証券会社の口座に保有している株式は、自己破産の手続きにおいては「資産」として計上され、裁判所から選任される破産管財人によって売却され、その売却益が全て債権者に配当されるのが原則となっています。

そのため、自己破産の申し立てをする段階で保有している銘柄は全て取り上げられてしまうというのが自己破産の手続き上の基本的な取り扱いとなります。

もっとも、株式を保有しているからと言って全てのケースで破産管財人に取り上げられて売却されるというわけでもありません。

保有している銘柄の自己破産の申立時点時価総額(※正確には自己破産の申立を行い裁判所が手続きの開始決定を題した日の時価総額)が20万円に満たない場合には、その株式は破産管財人の換価対象にはならないのが原則です。

なぜ時価総額が20万円以上ない場合は破産管財人に取り上げられないかというと、破産管財人に支払う報酬の平均が20万円とされているからです。

資産価値が20万円を下回る株式を売却するために自己破産の申立人に20万円の報酬を支払わせて破産管財人を選任してしまったのでは、20万円に満たない資産を債権者に分配するために申立人の現金という資産を20万円目減りさせてしまうということになり費用倒れになってしまいます。

ですから、自己破産の手続きにおいては、証券口座に保有している株式の時価が20万円を超えている場合にだけ破産管財人を選任して処理し、20万円を超えない場合には、自己破産の手続き後もそのままも破産者に保有させることを認める取り扱いにしているのです。

証券口座の預金(MRF)が20万円を超えている場合は破産管財人が取り上げて債権者に配当するのが原則

前述したように、証券口座に保有している株式は自己破産の手続きで「資産」と判断されますが、その証券口座に預金(MRF)として預けられている預金額についても同様に自己破産の手続きでは「資産」として処理されます。

したがって、自己破産の申立時点で証券口座に預金が残っている場合には、その預金額は全て破産管財人に取り上げられて債権者に配当されるのが基本的な取り扱いとなります。

もっとも、前述したように資産価値が20万円を越えないものについては破産管財人の報酬(管財費用)との兼ね合いで費用倒れになってしまいますから、証券口座の預金(MRF)額が20万円を超えない場合には、そのまま保有することが認められるでしょう。

他の銀行口座の預金と合計して20万円を超えている場合は破産管財人が取り上げて債権者に配当する

前述したように、証券口座の預金(MRF)についても自己破産の手続き上は「資産」と判断されますが、その預金額が20万円に満たない場合は債権者に配当する作業が費用倒れになってしまうため破産管材人は前任されず、自己破産後もそのまま証券口座の預金を保有することが認められるのが原則です。

しかし、仮に証券口座の預金額が20万円を超えない場合であっても、他の通常の銀行口座の預金額と合計して20万円を超える場合には、その20万円を超えない証券口座の預金も破産管財人に取り上げられて債権者に分配(配当)されることになります。

なぜなら、他の銀行口座の預金と合計して20万円を超える場合には、自己破産の手続きでは銀行の預金口座も証券口座も全て「預金口座」という種類の「資産」として計上されることになるため、たの銀行の預金口座の残金と合計して20万円を超えているのであれば、破産管財人を選任して債権者への配当を行っても費用倒れにならないからです。

したがって、たとえ証券口座に20万円を超える預金が残っていない場合であっても、他の銀行口座の預金額と合計して20万円を超えている場合には、自己破産の申立後に破産管財人によって取り上げられてしまうことが予想されますから、「20万円を超えないから引き出しても大丈夫だろう」などと考えて勝手に引き出して使ってしまわないように注意しなければなりません。

最後に

以上のように、自己破産の申し立てをする人が証券口座を開設し、その口座に預金(MRF)していたり、株を購入して特定の銘柄を保有している場合には、その預金や保有している株式が「資産」と認定され債権者への分配(配当)の対象とされる場合があるので注意が必要です。

安易に証券口座から現金を引き出したり、株取引を継続してしまうと自己破産の手続き上で裁判所や破産管財人から厳しく指摘されたり、調査が長引くこともありますし、最悪の場合は免責不許可事由となって免責が受けられなくなる可能性もあります。

ですから、証券口座を持っている人が自己破産を検討している場合には、早めに弁護士や司法書士に相談し、後で無駄なトラブルを発生させないよう慎重な対処が求められるといえます。

自己破産
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弁護士・司法書士事務所の探し方

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