夫(妻)が債務整理すると妻(夫)も信用情報機関に登録される?

債務整理の手続きには、自己破産、個人再生、特定調停、任意整理の四種類が用意されていますが、いずれの手続きをとったとしても信用情報機関に事故情報として登録されることは避けられません。

債務整理の手続きは弁護士または司法書士に依頼して手続きを進めるのが一般的ですが、債権者は弁護士や司法書士から受任通知(※依頼人から債務整理の委任を受けましたという通知書)が送付されたあとは債務者本人に対する請求が禁止されることになり、借金の返済が延滞(又は返済不能)が確定することになってしまうため、その時点で信用情報機関に事故情報として登録してしまうからです。

(※なお、仮に弁護士や司法書士に依頼せずに自分自身で債務整理の手続を行ったとしても、債務整理の手続きをすること自体、当初の契約で合意した返済を反故にすることになりますので信用情報機関に事故情報として登録されることは避けられません)

信用情報機関に事故情報として登録されれば、いわゆる「ブラックリストに載った」のと同じような状態になり、新たな借り入れやローンの申込みをしようとする際にその登録された事故情報がしんようを引き下げる一つの理由となってしまいますから、通常はその事故情報が登録されている間は新たな借り入れやローンの申し込みが制限されることになります。

ところで、ここで疑問が生じるのが、夫婦の一方が債務整理を行って信用情報機関に事故情報として登録されてしまった場合には、夫婦の他方も信用情報機関に事故情報として登録されてしまうのか、という点です。

夫婦は同一世帯で家計を共にしていますから、夫婦の一方が債務整理をするということは、その夫婦の他方もまた家計が破たんしているということが推定できますから、夫婦の一方が信用情報機関に事故情報として登録されてしまった場合には、夫婦のもう一方も登録されてしかるべきとも思えるからです。

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夫婦の一方が信用情報機関に事故情報として登録されても他方の信用情報には影響が生じないのが原則

結論からいうと、夫婦の一方が債務整理を行ったことによって信用情報機関に事故情報として登録されてしまった場合であっても、夫婦の他方の信用情報には全く影響が出ないのが通常の取り扱いです。

信用情報機関の登録情報はあくまでも「個人」に関する信用情報に限られますから、仮に夫婦や同居する家族であっても全く別の信用情報となります。

ですから、仮に「夫」が債務整理をしたことで信用情報機関に事故情報として登録されてしまったとしても、その事故情報が登録されるのは「夫」の信用情報に過ぎませんから、「妻」の信用情報は一切登録されることはありません。

これは何も夫婦の間だけの話ではありません。同居する子供や親がいるような場合も同様です。

たとえば、仮に子供が自己破産をしても親の信用情報には全く影響は生じませんし、その逆に「子」が任意整理をしたとしてもその「親」について信用情報機関に事故情報が登録されることはありません。

保証人になっていたり相続したような場合は信用情報に事故情報として登録される可能性も有り得る

前述したように、信用情報機関に登録される信用情報は、あくまでも金融機関から借り入れをした債務者本人のものに限られますので、仮に夫婦や同居の家族(親族)であったとしても本人ではない人の信用情報にまで事故情報として登録されてしまうわけではありません。

しかし、これはあくまでも原則的にはそのようになるというだけで、一定の例外的な事情が発生しているような場合には、債務者本人ではない夫婦の一方や家族(親族)について信用情報機関に事故情報として登録されてしまうケースがあるので注意が必要です。

(1)保証人(連帯保証人)や連帯債務者になっている場合

例えば、夫婦の一方が債務整理をした場合に、夫婦のもう一方がその債務整理の対象となっている債務の保証人(連帯保証人や連帯債務者も含む)になっているような場合です。

借金の主たる債務者が債務整理してしまうと、債権者である金融機関は「返済が受けられなくなった」ということで信用情報機関に事故情報の登録を行いますが、仮にその借金に保証人(連帯保証人)や連帯債務者が付いていた場合には、その保証人や連帯債務者に請求が行くことになります。

そのため、このように「夫」の借金について「妻」がその保証人等になっている場合に「夫」が債務整理をしてしまうと、その保証人である「妻」に請求がなされることになりますが、仮にその際、請求を受けた「妻」が返済できない場合には、「妻」についても信用情報機関に事故情報として登録されることになります。

このように、通常であれば信用情報に影響がないものであっても、保証人になっていたり、連帯債務者として契約に名前を連ねているようなケースでは、その借金の借主でなくてもその借金の借主が債務整理したことによって信用情報機関に事故情報として登録されることがありますので注意が必要です。

(2)相続が発生し相続した借金の返済ができない場合

また、夫婦の一方が任意整理をした後に死亡したことにより、夫婦の他方がその借金を相続したような場合にも、その相続した夫婦の一方が信用情報機関に事故情報として登録される可能性があります。

たとえば、「夫」が任意整理をした場合にはその夫について信用情報機関に事故情報として登録されるだけで「妻」が信用情報機関に事故情報として登録されることはありませんが、その任意整理の分割弁済期間中に「夫」が死亡してしまった場合には、相続人として「妻」がその任意整理で和解した分割弁済金額を相続することになりますから、その「妻」が夫の後を引き継いで分割弁済で合意したとおりの返済ができないような場合には、「妻」が信用情報機関に事故情報として登録されることになります。

このように、まれなケースかもしれませんが、任意整理の分割弁済期間中に「夫(妻)」が死亡した場合には「妻(夫)」が債務を引き継ぐことになり、相続後に返済ができなくなった場合にはその相続人として信用情報機関に事故情報として登録されることがありますので注意が必要といえるでしょう。