自己破産の費用が払えない場合はどうしたらいいの?

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自己破産しなければならないほど借金の返済が困難になっていても「自己破産するお金がないから自己破産できないんだ」と言って借金を放置し、余計に負債を膨らませてしまう人がいます。

このような人はおそらく、弁護士や司法書士に支払う必要のある報酬を支払う経済的余裕がないことを理由に「お金がないから自己破産できない」と考えているのだと思われますが、だからと言って借金の返済をそのままにしていいというものではありません

では、このように「お金がないから自己破産できない」状態に置かれている多重債務者は、具体的にどのようにして借金を整理すればよいのでしょうか?

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「お金がないから自己破産できない」という状況はありえない

結論からいうと、「お金がないから自己破産できない」と言っているような人であっても、その時点で「返済不能」に陥っているのであれば、自己破産の申し立てを行って借金を処理するしか方法はありません。

このように言うと「だからお金がないから自己破産できないって言ってるだろ!」と反論する人もいるかもしれませんが、それは間違っています。

なぜなら、次に挙げる(1)~(3)の事情があることを考えると、今の日本で「お金がないから自己破産できない」というような状況は常識的に考えてありえないからです。

(1)弁護士・司法書士が費用の分割払いに応じていること

一昔前までは違っていたのかもしれませんが、現在ではほとんどの弁護士や司法書士の事務所が費用(報酬)の分割払いに応じているのが実情です。

これは、多重債務が社会問題化して債務整理できずに路頭に迷う人が多かったことから、弁護士会や司法書士会が所属する会員(弁護士・司法書士)に対して「多重債務者が債務整理の相談に来た場合はできるだけ分割払いに応じること」を積極的に推奨してきた結果だと思われますが、現在では自己破産を含めた債務整理案件を扱う事務所ではむしろ「分割払いを認めない」事務所の方が圧倒的に少数派です。

そして、弁護士事務所や司法書士事務所が費用の分割払いに応じる場合には、毎月2万円程度の支払いでも認めているのが実情ですので、普通に働いている人であれば「自己破産の費用を捻出できない」といった状況には陥らないはずでしょう。

弁護士や司法書士に債務整理を依頼すればその時点で債権者への返済はすべてストップして構わないのですから、それまで多額の利息を支払って来たのに比べれば、毎月2万円前後の支払いをできない人というのは常識的に考えてありないのです。

このように、現在ではほとんどの弁護士や司法書士事務所で費用の分割払いに応じていることを考えると、「お金がないから自己破産できない」という主張は到底同意できないといえます。

(2)法テラスの民事法律扶助を利用すれば格安で処理してもらうことができる

前述したように、現在ではほとんどの弁護士や司法書士事務所で費用の分割払いに応じていますので、普通に働いて普通に生活しているのであれば「お金がないから自己破産できない」というシチュエーションは、まず考えられないといえます。

もっとも、世の中には様々な事情があって「人並みの生活」が遅れない厳しい毎日を送っている人もいるのが現実で、中には「弁護士や司法書士に支払う毎月2万円程度のお金すら捻出できない」というほどカツカツの生活を強いられている人もいるでしょうから、そういう人にとっては「弁護士や司法書士が分割払いに応じてくれても自己破産できない」という状況に陥っている人もいるかもしれません。

しかし、そういう生活保護水準のギリギリの生活を送っている人であっても自己破産の申し立ては可能です。

なぜなら、国が設立した法テラス(日本司法支援センター)が取り扱っている弁護士や司法書士の報酬を立て替える制度である「民事法律扶助」の制度を利用すれば、格安で自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼することが可能だからです。

法テラスの「民事法律扶助」を利用すれば、弁護士や司法書士に自己破産の処理を依頼したとしてもその弁護士や司法書士に支払う報酬(費用)はその全額を法テラスの方で立て替えてもらうことができますので、手持ちの資金が「0円」であっても自己破産の手続きを弁護士や司法書士に依頼することが可能です。

そして、この「民事法律扶助」を利用する場合の弁護士や司法書士の報酬は法テラスが定めた基準の金額(※注1)となり、その金額以外のお金を弁護士や司法書士が請求することは認められていませんから、格安の値段で弁護士や司法書士に自己破産の手続きを処理してもらうことが可能なのです。

※注1:民事法律扶助の立て替え制度を利用して弁護士や司法書士に自己破産の手続きを依頼した場合の報酬は、弁護士に依頼する場合は152,600円(うち23,000円は裁判所に納める実費等となります)、司法書士に依頼する場合は103,400円(うち17,000円は裁判所に納める実費等になります)となっています。

ですから、法テラスの民事法律扶助を利用するのであれば、この金額以上のお金を弁護士や司法書士から請求される心配はないことになります。

※参考→民事法律扶助業務|法テラス

また、この民事法律扶助の立替制度を利用した場合は、手続きを依頼した後に法テラスに対して立て替えてもらった弁護士・司法書士費用を償還していかなければなりませんが、その場合に法テラスに返済していかなければならない金額も毎月5,000円程度でよく、特別な事情があれば毎月3,000円の返済でも許容されています。

「毎月3,000円」の支払いであれば、普通に働いているのであればどんな低所得者であっても可能なはずですから、法テラスの民事法律扶助を利用することができることを考えれば自己破産の手続きで借金を処理できない人がいるとは考えられません。

このように、法テラスの民事法律扶助を利用すればどんな低所得者であっても自己破産することは可能と言えるのですから「お金がないから自己破産できない」という状況は常識的に考えてありえないといえます。

【法テラスを利用するために必要となる収入基準について】

法テラスの民事法律扶助は低所得者に利用が認められる制度なので一定の収入がある人は弁護士・司法書士費用の立替を受けることができませんが、法テラスの報酬基準はかなり緩やかですので(平均年収程度でも十分利用できる基準になっています)、ほとんどの平均的な家庭の人であれば、ほぼ間違いなく法テラスの収入審査はパスするのが実情です。

たとえば、毎月の月収が単身者であれば182,000円(※東京大阪などの大都市では200,200円)、4人家族では299,000円(※大都市では328,900円)以下であれば収入審査は通ります。

また、家賃や住宅ローンの支払いがある場合には、単身者では41,000円、4人以上の世帯であれば71,000円がこの金額に加算されますから、家賃や住宅ローンの支払いのある単身者であれば223,000円(※東京大阪などの大都市では241,200円)、4人家族では370,000円(※大都市では399,900円)以下の月収であれば法テラスの民事法律扶助を利用することは可能となります。

このように、法テラスの収入基準は平均的な世帯収入よりも高く設定されていて、よほどの高所得者でない限りほとんどの人が利用できるのが実情ですので「お金がないから自己破産できない」という主張は通らないといえます。

※なお、法テラスの収入基準については法テラスのこちらのサイトで詳細に解説されています→民事法律扶助業務|法テラス

(3)生活保護受給者なら「無料」で自己破産することができる

なお、中には「生活保護を受けてるから毎月3,000円すら支払うことができないんだ」「だから法テラスの民事法律扶助を利用することもできないだ」と言う人がいるかもしれませんが、それも間違っています。

なぜなら、前述した法テラスの民事法律扶助を利用する人が生活保護受給者である場合には、本来であれば法テラスに変換しなければならない立替費用の全額が償還免除となり、1円も支弁することなく弁護士や司法書士に自己破産の手続きを依頼するシステムになっているからです。

※詳しくは→生活保護受給者は無料で自己破産できるという話

このように、今の日本では、たとえ収入が1円もなく生活保護に頼って生活しているような場合でも、すべての人が弁護士や司法書士に依頼して自己破産の手続きを利用することができるシステムが構築されているのが実情ですから「お金がないから自己破産できない」というシチュエーション自体、発生することがありえないといえます。

※なお、生活保護の申請をしても役所の方が生活保護申請を受け付けてくれないというような場合は、弁護士や司法書士に相談すれば適切な助言をしてくれたり場合によっては市役所等に同行してくれる場合もありますので、いずれにしてもまずは弁護士や司法書士に相談することが必要と言えます。

最後に

以上のように、ほとんどの弁護士や司法書士事務所で費用の分割払いを認めているのが実情で、法テラスの民事法律扶助制度も整備されている今の日本では、「お金がないから自己破産できない」ということは常識的に考えてありえないということが言えます。

ですから、自己破産しなければならないほど返済が困難な借金を抱えてしまった場合には「お金がないから」といった言い訳をしないで、早めに弁護士や司法書士に相談し、適切な対処を取ってもらうことが必要であるといえます。