自己破産で提出する反省文の正しい書き方とは?

自己破産の手続きにおいて裁判所に提出する書類の中に「反省文」なるものがあるそうです。

「あるそう」と書いてしまうと「お前知らなかったのか?」と言われそうですが、自己破産の手続きにおける「反省文」の存在を知らなかったわけではありません。

「反省文」の存在自体はもちろん知っていますが、自己破産の手続きで「反省文」の提出は必須とされていないので、あえて「なるものがあるそう」と書いたわけです。

といっても、裁判官や破産管財人から「反省文を提出しろ」と言われれば、申立人としてはそれを拒否することはできませんので「反省文を書け」と言われた場合を想定して、自己破産の手続きの際に提出する可能性がある「反省文」の書き方もある程度理解しておいた方がよいものと思われます。

そこでここでは、自己破産の申し立て手続きで必要となる可能性のある「反省文」の書き方について少し考えてみることにいたしましょう。

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反省文は必ずしも提出しなければならないわけではない

先ほども少し触れましたが、自己破産の手続きにおいて「反省文」の提出は法律で義務付けられたものではありませんので、自己破産の申し立てをした場合に必ずしも「反省文」の提出が求められるわけではありません。

私も過去に10年ほど司法書士をしていた時代にそれなりの数の自己破産の申し立てを処理してきましたが、その中で裁判官や破産管財人から「反省文を提出してください」と指示された経験は一度もありませんでした。

中には、借り入れの8割以上がパチンコのための借り入れで風俗などの利用もあって完全に免責不許可事由に該当する案件もあったのですが、その場合でさえも裁判官から「反省文を提出しろ」などとは求められませんでした。

もちろん、自己破産の手続きは裁判所によって取り扱いが異なりますし、裁判官の思想信条などの違いもありますから、私が司法書士をしていた都道府県の裁判所の取り扱いが「たまたま反省文の提出を求めない方針」にしていたのかもしれませんし、私が司法書士をしていた時期にその裁判所に赴任していた裁判官が「たまたま反省文の提出を求めない思想」を持った裁判官であったため「たまたま反省文の提出を求められなかっただけ」という可能性も否定できません。

また、管財事件として処理される場合には、申立書を作成した私から破産事件そのものが破産管財人にすべて引き継がれることになりますので、もしかしたら破産管財人と裁判官のやり取りの中で反省文の提出を求めているケースがないとも言えないでしょう(ただし、事件終了後に本人から反省文を書かせられたという話は聞いたことがありませんが…)。

ですが、私の個人的な感覚からすると「反省文」の提出を求められることはあまりないのではないかと思いますので、「反省文」の書き方がわからないことを前もって不安に感じる必要なないのではないかと思います。

ネット上の自己破産関連の記事を読むと、「反省文」の記載方法などに関する記事がやたらと目につきますが、そもそも「反省文」自体が法律で提出が義務付けられた書面ではなく、実際の現場で「反省文」の提出が求められるシチュエーションもそれほど多くないのが実情だと思いますので、その点は誤解の無いようにしていただければと思います。

弁護士や司法書士が作成して提出してくれることもある

前述したように、私の個人的な感覚からすると自己破産の手続きで「反省文」の提出が求められるケースはそれほど多くないのではないかと思うのですが、自己破産の手続きではいわゆる「作文」の提出が義務付けられていますので、その「作文」の中で「反省の意思」を記載することはごく普通にあります。

いわゆる「作文」と言うのは、自己破産の申立書の記載事項になっている「破産に至った事情」を記載する欄のことを言います。

自己破産の申立書には、借り入れを始めてから支払い不能に陥るまでの過程で、どのような借り入れを行い、どのような収入を得ながら、どのような生活をして、どのように返済をした結果、どのような経緯で返済不能に陥ったのか、という点を、時系列にそって事細かに記載し、裁判官に説明するための欄が設けてありますから、そこに自分のこれまでの借金生活をすべて「作文」形式で記載することが求められます。

そこには当然、これまでに生じた事実だけを時系列に書けばよいのですが、借入の原因にギャンブルや風俗の利用などがある場合には、免責不許可事由に該当することが明らかとなってしまうので、裁判所から「管財事件」に振り分けられて処理されないように、あらかじめ「免責不許可事由に該当する行為をしてしまったこと」について「反省している」ことを示すために、「反省の意思を表す文章」を挿入することがままあるのです。

そうしないでただ単にギャンブルや風俗を利用したことだけを書いて申立書を提出してしまうと、裁判官に対して「反省していますよ」という意思が伝わりません。

もし仮にその事案が「管財事件」として処理されることになれば、裁判所から選任される破産管財人に支払わなければならない管財費用(引継予納金※最低でも20万円)が必要となり依頼人の負担が大きくなってしまいますから、依頼を受けた弁護士や司法書士としては「管財事件」に振り分けられることを防ぐためにあらかじめ「反省していること」を示して裁判官の心証をよくする必要があるのです。

そういう理由もあって、特に免責不許可事由に該当するような行為があるような依頼人の申立書を作る場合は、「作文」の最後の方に「反省の意思を表す文章」を挿入することが多いのです。

その面で考えると、自己破産の申立をする際に「反省の意思を表す文章」という意味での「反省文」を提出する場面はあるといえるのですが、だからと言って、自己破産する本人が「反省の意思を表す文章」を自ら考えたり作成したりする必要があるわけではありません。

自己破産の申し立てを弁護士や司法書士に依頼した場合には、依頼を受けた弁護士や司法書士が依頼人から詳細な聞き取りを行って事実関係を把握し、その聞き取りした内容をもとに弁護士や司法書士が「作文」を作成するのが通常ですから、仮に「反省の意思を表す文章」が必要な場面があったとしても、その文章を考えて作成するのは依頼を受けた弁護士や司法書士になるからです。

「反省の意思を表す文章」という意味での「反省文」を書くといっても、実際にその文面を考えて文章に起こす作業を行うのは弁護士や司法書士(またはその事務所の事務員)になりますから、自己破産を申し立てる本人が「反省文」の書き方に頭を悩ますケースはあまり考えられないといえるでしょう。

もちろん、弁護士や司法書士によっては本人に反省を促す必要性から本人に「反省文を書いてください」と指示する場合はありますが、その場合でも具体的な書き方は弁護士や司法書士の方で教えてくれるのが通常ですので、申し立ての前に「反省文の書き方」を必死になって勉強する必要性はないのではないかと思います。

反省文の作成要領

以上で説明したように、自己破産の実務的には裁判所や破産管財人から「反省文」の提出を求められること自体それほど多いとは考えられませんし、仮に「反省文」の提出を求められたとしても、実際には手続きを依頼している弁護士や司法書士が事実関係を聞き取りして代わりに作成してくれることも多いですから、自己破産の申立人自身が「反省文」の書き方に頭を悩ます必要性はないといえます。

もっとも、裁判官や破産管財人によっては「反省文」の提出を命じることもあるかもしれませんので、そういったレアケースの存在を否定できない以上、「反省文」の書き方もある程度レクチャーしておいた方がよいかもしれません。

そこで、ここでは「反省文」書き方の簡単な要領を説明しておくことにいたしますが、といっても次の(1)~(4)の要領に従って「起承転結」を意識して書けばよいだけですので、それほど難しく考える必要はありません。

(1)「起」の部分

起承転結の「起」の部分、つまり冒頭の部分には、自分がどのような免責不許可事由に該当するような責められるべき行為をしてきたのかといった点をすべて正直に記載します。

先ほども述べたように、裁判官や破産管財人から「反省文」の提出を求められるのはかなりのレアケースと考えて差し支えありませんので、「反省文」を求められているということは借り入れや返済の態様になんらかの「不正な」「責められるべき」行為があったことが見受けられるからでしょう。

つまり「反省文」の提出を求められているということは「ギャンブルなどの射幸行為」や「風俗」などの浪費等、「資産隠し(財産の隠匿)」や「詐術(債権者をだます行為)」などが見受けられることをもって裁判官や破産管財人が反省文の提出を求めているということがうかがえるので、そういった責められるべき行為をすべて正直に記載することがまず求められるといえます。

裁判官や破産管財人の意思としては最終的には「免責(借金の返済義務を免除すること)」を与えることを念頭に置いていますが、そのためには申立人自身が自分が行った不正行為(責められるべき行為)を正確に認識している必要があるので、わざわざ「反省文」の提出を求めているわけです。

ですから、裁判官や破産管財人から「反省文」の提出を求められた場合には、まずその冒頭の「起」の部分で自分がどのような免責不許可事由に該当するような行為(ギャンブルや風俗、資産隠しなど)を行ったのかと言うことを、すべて偽りなく正直に記載する必要があるといえるのです。

(2)「承」の部分

起承転結の「起」の次の「承」の部分には、「起」の部分で記載した免責不許可事由に関する事実をしてしまった原因を記載しましょう。

たとえば、借金の原因が「ギャンブル」にあった場合には「なぜギャンブルに溺れてしまうようになったのか」を、「風俗」にあった場合には「なぜ借金をしてまで風俗に通い続けることになったのか」などを記載します。

また、免責不許可事由にあたる「資産隠し」があったような場合は「なぜ財産を隠匿するような行為に及んだのか」などを記載するほうがよいでしょう。

自分がしてしまった過ちの「原因」を見つめなおし、それを客観的に理解できないと「反省」することはできません。

ですから、過去の過ちの「原因」を自分でよく考えなおしてそれをすべて明らかにする必要があるといえます。

(3)「転」の部分

起承転結の「起」「承」と記載してその次の「転」の部分には、自分がとってしまった誤った行動によって借金の返済が不能となってしまったことによって、債権者に対して多大な経済的損失を与えてしまったことを反省する文言を書いておいた方がよいでしょう。

自己破産の手続きを利用して裁判所から免責を受けるということは、本来であれば返済しなければならない負債を「踏み倒す」ことになるわけですから、債権者側からしてみるとそれによって生じる経済的ダメージは相当なものになります。

ですから、その点について真摯に反省し、債権者に誠実に謝罪する文言を記載することは必須といえます。

この「反省」する文章がないとそもそも「反省文」にはなりませんので、この「転」の部分で心から反省する気持ちを表現することが重要と言えます。

(4)「結」の部分

起承転結の最後にあたる「結」の部分には、「今後同じ過ちを二度と繰り返さないこと」を誓うような趣旨の文章を入れて反省文全体の結びとします。

先に述べたように、裁判官や破産管財人の立場としてはできる限り免責を認めて申立人を負債から解放してあげる方向で手続きを進めたいわけですが、裁判官や破産管財人としても債権者への責任があるため、同じ間違いを2度3度と繰り返すような申立人に免責を安易に認めてあげることは憚られるのが通常です。

裁判官や破産管財人の立場に立てば「今後二度と破産するような事態に陥ることがない」ということがある程度確定的に判断できない申立人に免責を認めることができませんから、「二度と同じ過ちは繰り返さない」と宣誓してくれるような言葉を申立人から取りたいのが本心としてあります。

そういう「二度と同じ過ちは犯さない」という言葉を申立人から引き出せれば、債権者に対して「ここまで誓約してくれてるんだから免責を認めてやってくださいよ」という説明も付きますし、仮に将来その申立人が同じ過ちを犯して破産を繰り返したとしても「前回の破産のときは二度と同じ過ちを犯さないって誓約したから私は免責を認めたんですよ…だから私に責任はないですからね」という言い訳が成り立ちます。

そういった意味合いからも、裁判官や破産管財人は申立人から「二度と同じことは繰り返さない」という言葉を取っておきたいので、起承転結の「決」の部分で「今後同じ過ちを二度と繰り返さないこと」を誓うような趣旨の文章を入れて裁判官や破産管財人を納得させることが必要となるでしょう。

また、破産手続きの最終的な目的は債務者の破綻してしまった生活を再建することにありますから、「今後どういった気持ちで生活していくのか」という本人の考え方自体も、「生活の再建が可能か否か」の判断材料として必要になるでしょう。

そういった意味合いでも、「今後の将来に対する考え方」を裁判官や破産管財人に伝えておく必要があると考えられるため「今後同じ過ちを二度と繰り返さないこと」を誓う言葉を入れておくことは必要であると考えられます。

反省文の記載例

以上のような「起承転結」を意識して反省文を実際に書いてみた場合の記載例は下記のようになります。

【自己破産で裁判所に提出する反省文の記載例】

私は、申立書に記載したとおり、〇年頃からパチンコや風俗などの遊興に浸るようになり、その費用をねん出するために債権者から多額の借り入れを行って現在に至るまで借り入れと返済を繰り返してまいりました。

これは、〇年頃お付き合いをしていた女性から一方的に別れを切り出され落ち込んでいた私を心配した友人が、その女性を忘れさせるためにパチンコや風俗に誘ってくれたことがきっかけですが、その快楽に溺れ気持ちを紛らわせることに逃げ道を見つけた私の弱い心に根本的な原因があるのだと自覚しておりますおります。

今思えば、自分の収入で賄える範囲で遊ぶ程度に抑えておけばよかったと気づくのですが、当時は「何とか返せるだろう」「これで最後だから」と安易な考えで借り入れを繰り返し、返済できない状況にまで借り入れを膨らませてしまいました。

これはひとえに、私の計画性のなさと、容易に快楽に溺れてしまう意志の弱さに起因するところであり、私のこのような未熟な考えによって、これまで私を信用して貸付を許容くださった債権者の皆様方に、多大なご迷惑と経済的損失を与えることになってしまった現状は、お詫びしてもしきれないほどの裏切り行為であって深く反省するところでありますし、また深く謝罪したい気持ちでいっぱいでございます。

今後は安易な借り入れは行わないことを決意しておりますし、支払いを停止した以降は手続きを依頼している弁護士(司法書士)の先生の助言を得ることで家計状況も改善し毎月の収入で十分生活ができるよう家計収支も改善させております。

今回の件で債権者各位に多大なご迷惑をおかけしたことについては誠に申し訳なく思いますが、二度とこのような過ちを犯さないように、今後は安易な借り入れに頼らないで生活していくことを決意しているところでございますので、債権者各位には、何卒ご理解していただくお願い申し上げる次第でございます。

もっとも、この記載例はあくまでも「例」として記載しているので、実際に反省文を作成する場合は、自身の気持ちや過去の事実などをより具体的に記載し、全体的な文章の長さがこの記載例の3倍程度の文章になるようにした方がよいのではないかと思います。

最後に

以上で説明した反省文の記載要領はあくまでも私の個人的な見解に基づくものであって、このように作成すれば必ず免責を受けられると保証できるものではありません。

もっとも、裁判官や破産管財人が反省文の提出を求める趣旨は、先ほども述べたとおり、申立人に免責を認めるにあたって申立人が「本当に自分の過ちを認識しているか」「本当に真摯に反省しているか」「本当に今後の生活再建は可能か」という点を確認するためだと考えられますので、つまるところ、その点がキチンと書かれている文章であれば、どのような文章であっても「反省文」としては問題ないものと思われます。

ですから、反省文の様式や文言に必要以上に注意を払うのではなく、自分のこれまでの行いを真摯に反省し、将来の生活再建を十分に考えるのが先決で、そうすれば自ずと文章もわいてくるでしょうから、その心の内を文章にしたためればよいのではないかと思います。

ネット上に氾濫する奇麗な文章で書かれた反省文をコピペするのもよいですが、たとえ文章は稚拙であっても、真摯に反省し自分を見つめなおして書いた文章の方が、裁判官や破産管財人、債権者には伝わるはずだと思いますので、まずは自分の過ちを見つめなおす作業から始めるのが一番なのではないかと思います。