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ビットコインなどの仮想通貨は自己破産で資産として扱われるか?

数年前までは「なんか怪しい…」投資対象に過ぎなかった仮想通貨も、現在ではポートフォリオに組み込まれるほど有効な資産運用手段の一つとして認識されるようになっているようです。

なかでも、ビットコインなど比較的認知度の高い仮想通貨は、株や債券など通常資産からのリスク回避を目的とした資産流入の影響もあり、急速に取引量を増加させているようです。

ところで、これらビットコインなどの仮想通貨はネットで比較的簡単に購入できることから、最近では多重債務者の中にも所有している人が稀に見られるようになってきているようです。

このように、多重債務者が仮想通貨を持っている場合に問題となるのが、その人が自己破産の申し立てをする場合です。

自己破産の手続きでは所有するすべての資産(財産)を裁判所に申告し、破産管財人にその処分を委ねるのが基本的な取り扱いとなりますが、ビットコインなど実体のない「仮想」の通貨が自己破産の手続きで具体的にどのように扱われるか、という点に疑問が生じるからです。

では、自己破産の申立人がビットコインなどの仮想通貨を所有している場合、その「仮想」に過ぎない疑似通貨は手続き上で具体的にどのように扱われるのでしょうか?

資産として債権者への配当原資に充てられたりするものなのでしょうか?

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仮想通貨も自己破産の手続きでは「資産」として扱われる

結論からいうと、ビットコインなどの仮想通貨も自己破産の手続き上は「資産」として扱われることになりますので、自己破産の手続きを申立てる時点でビットコインなどの仮想通貨の残高を所有している場合には、その残高を裁判所に届け出なければなりません。

なぜなら、ビットコインなどの仮想通貨であっても、取引所で売却し現実の通貨に換金することが可能であるため、他の資産と何ら変わりがないからです。

この点、仮想通貨のレートは日々変化していますので、仮想通貨の資産としての「価値」がいくらになるのかという点が問題となりますが、通常は自己破産の申立を行い「裁判所から自己破産の開始決定が出される日」の「時価」がその仮想通貨の「資産額」となります。

破産管材人が売却し売却代金を債権者に配当(分配)するのが原則

このように、ビットコインなどの仮想通貨も「資産」としての価値がありますから、自己破産の手続きでは裁判所から選任された破産管財人(※裁判所の管財人名簿に登録されている弁護士が指名されます)が取引所で売却し、その売却代金が債権者に配当されることになるのが原則的な取り扱いとなります。

仮想通貨の換金額が時価で20万円に満たない場合は資産の対象とならない

以上のように、ビットコインなどの仮想通貨がある場合には自己破産の手続きでは「資産」と判断されますから、その仮想通貨は破産管財人に取り上げられて市場で売却され、その売却代金が債権者に配当されるのが通常の取り扱いとなります。

もっとも、自己破産の申立人が仮想通貨を所有していれば全てのケースで取り上げられて売却されるというわけではありません。

その所有する仮想通貨が時価で20万円を超えない場合には、自己破産の手続きによっても取り上げられて売却されることはなく、自己破産後も破産者に所有することが認められる場合も有ります。

なぜなら、仮想通貨の残高が20万円を超えない場合にまで自己破産の手続き上で「資産」と認定し破産管財人に処理させてしまうと、破産管財人に支払う報酬の方が高くついてしまい、いわゆる「費用倒れ」になって無意味な結果となってしまうからです。

自己破産の手続きで裁判所から選任される破産管財人の報酬は、ほとんどの裁判所でその最低金額が20万円と設定されていますから、破産者が保有する資産が20万円よりも低い場合には、20万円よりも低い資産を債権者に分配するために20万円の報酬を支払って破産管財人を雇うことになってしまいます。

そうであれば、破産管財人を選任したりせずに破産管財人に支払う20万円を債権者に分配すれば済むわけですから、あえて破産管材人を選任して仮想通貨を市場で売却し、現実通貨として回収する必要はないわけです。

(※この点の詳細は→なぜ「20万円」が基準になるのか?

このように、自己破産の申立人が所有する仮想通貨の時価総額が20万円を超えない場合には、管財事件にして破産管財人を選任するのは無駄になってしまいますので、裁判所が「資産がない」ものと判断して「同時廃止事件」として処理することになるのが通常です。

裁判所が「同時廃止事件」として処理する場合には、自己破産の申立人の資産は全て従来のまま所有することが認められますから、ビットコインなどの仮想通貨も売却されることがないまま自己破産の手続きが終了することになります。

自己破産の申立前に仮想通貨を売却するのはNG

以上のように、自己破産の申立時点の時価総額が20万円を超えない仮想通貨は「資産」としての取り扱いを受けませんが、時価総額が20万円を超える場合には原則どおり破産管材人が取り上げて市場で売却することになるのが原則です。

この場合、自己破産の申立前に仮想通貨を自分で売却し、現金化しておけば破産管財人に取り上げられないのではないか、と思う人がいるかもしれませんがそれはNGです。

確かに、自己破産の申立前に仮想通貨を市場で売却し「現実の通貨」に換金してしまえば、それは「仮想通貨」という資産ではなく「現金」という資産になります。

この点、自己破産の手続きでは「現金」については99万円まで「自由財産」として保有することが認められていますから、自己破産の申立前に「仮想通貨」という「資産」から「現金」という「自由財産」にその状態を変更させてしまえば、裁判所に取り上げられなくて済むという考え方も成り立ちます。

しかし、このように自己破産の申立前に仮想通貨を現金化する行為は厳に慎まなければなりません。

なぜなら、「仮想通貨」と「現金」を比較した場合、「現金」の方が一般市場で消費しやすい性質がありますから、たとえその現金化した後に1円も使わなかったとしても、「仮想通貨」を「現金」に変更させる行為自体が「財産を不当に減少させる行為」と判断され、免責不許可事由になるものとして免責(※借金の返済が免除されること)が受けられなくなってしまう可能性があるからです(破産法第252条第1項1号)。

【破産法第252条】

第1項 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
第1号 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
(以下、省略)

また、このように自己破産の直前で特定の資産を現金化した形跡がある場合には、裁判所はその現金化はなかったものとして資産を計上しますから、たとえ申立前に仮想通貨を市場で売却し現金化したとしても、その扱いは「現金」ではなく「仮想通貨」として判断されることになり、その時価が20万円以上あるのであれば破産管財人の換価対象となりますので、現金化すること自体が無意味になってしまいます。

以上のように、自己破産の申立前に仮想通貨を現金化する行為は、免責不許可事由に該当するため免責が受けられなくなる危険性がありますし、その現金化自体無意味な行為といえますから、申立前に現金化することは控える方が無難でしょう。

※ただし、所有するビットコインなどの仮想通貨レートの急激な下落が予測される場合には、売却しなければかえって資産の減少を招いてしまいますので、そのような相場の下落の蓋然性が高いと判断される場合には、自己破産の申立前の売却も是認されますし、むしろ早急に売却する必要があるといえます。

もっとも、この場合であってもその売却し現金化した後は「現金」としてではなく「債権者に分配されるべき資産」として扱わなければなりませんから、他の現金とは別に保管して破産管財人に速やかに引き継ぐことができるよう一切手を付けないようにしなければなりません。

管財事件・破産管財人自己破産
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