任意整理するとクレジットカードはどうなる?

任意整理は弁護士や司法書士に代理人になってもらい、借金の対象となっている債権者との間で利息のカットや債務額の減額、分割返済の話し合いをしてもらう手続きをいいます。

自己破産や民事再生手続きと異なり裁判所に申し立てをする必要がありませんから、比較的短期間(早ければ2~3か月程度)で処理が終わるため、他の債務整理の手続きに比較して利用しやすい借金の処理方法といえます。

任意整理の対象とする債権者は通常、貸金業者やクレジット会社が対象となりますが、任意整理をする場合に気になるのが任意整理するとクレジットカードはどうなるか、という点です。

任意整理をする場合のクレジット会社への影響については、

  1. 借入のあるクレジットカード会社の債務について任意整理する場合
  2. 借入のあるクレジットカード会社の債務については任意整理しないが、それ以外の貸金業者の債務について任意整理する場合
  3. クレジットカードは所有していないが、任意整理後にカードを作る予定がある場合

の3つの状況によってそれぞれ違う結果になると考えられますので、このぺーじではこの3つの状況の場合にクレジットカードにどのような影響が生じるのかという点について考えてみたいと思います。

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(1)借入のあるクレジットカード会社の債務について任意整理する場合

借入のあるクレジットカード会社の債務について任意整理する場合には、そのクレジットカードは使用できなくなります。

任意整理をする場合においてその対象となる債権者がクレジットカードカードを発行している場合には、弁護士や司法書士がクレジットカード会社に受任通知を送付するとクレジットカードを返却するように連絡がなされます。

そのため、弁護士や司法書士に依頼する任意整理を依頼する場合には依頼した時点で弁護士(または司法書士)がクレジットカードを預かる(通常はその場でハサミを入れて使用できないようにして預かる)のが一般的です。

この場合、仮にクレジットカードをカード会社に返却しなかったとしても、弁護士や司法書士がカード会社に通知を出して時点でカードの利用がストップされますので、返却してもしなくても利用することはできなくなりますが、通常は返却する必要があると思った方が良いでしょう。

なお、光熱費や携帯代、家賃の支払いをカード払いにしている場合には弁護士や司法書士に債務整理を依頼するとカードから引き落とされなくなりますので、事前にカード会社を変更するか銀行引き落としなどに変更する必要があるでしょう。

(2)借入のあるクレジットカード会社の債務については任意整理しないが、それ以外の貸金業者の債務について任意整理する場合

借入のあるクレジットカード会社の債務については任意整理をせず、それ以外の貸金業者等からの借金についてだけ債務整理をする場合には、そのクレジットカード会社の債務について契約通りの返済をしなくなるわけではありませんから、任意整理の対象としないクレジットカード会社の発行しているカードについては従前どおり使用することが可能です。

個人再生や自己破産の申し立てと異なり、任意整理は一部の債権者の債務だけを対象として交渉することもできろことから、特定のクレジットカード会社の債務を除外して他の借金だけを任意整理で処理することも差し支えないためです。

ただし、注意点すべき点があります。

それは、次回のカードの更新の際に審査が通らない可能性があるという点です。

弁護士や司法書士に依頼して任意整理を行うということは契約通りの返済を途中で反故にして借金額の減額や分割返済の和解を取り付けるものですから、借金を契約通りに返済しないことになります。

そのため信用情報機関に「事故情報」として登録されることになり、この事故情報は任意整理で分割返済の和解を取り付けた弁済が終わり借金が完済されてから5年間保管されることになります。

この信用情報機関に登録された「過去に任意整理をした」という事故情報は登録されている期間中、その信用情報機関に加盟している金融機関は自由に照会を掛けることができますから、その事故情報の登録期間中にカードの更新期間が到来した場合には、当然そのカード会社もその事故情報を目にすることになるでしょう。

そうするとカードの更新時において過去に任意整理したことが事故情報としてカード会社に明らかとなり返済能力がないと判断されて審査で落とされ、カードの更新が拒否されるという結果になる可能性があります。

もちろん、カードの更新時にカード会社が過去の任意整理の事実をどのように審査に反映させるかは個々のカード会社によって異なりますから、カードの更新が一概に拒否されるとは限りませんが、一般論から言って任意整理した場合には、たとえ所有しているクレジットカード会社の債務を任意整理に含めていなかったとしても、後のカードの更新の際に更新が拒否されることもあるということは認識しておいた方が良いでしょう。

(3)クレジットカードは所有していないが、任意整理後にカードを作る予定がある場合

任意整理を行う際にクレジットカードは所有していないものの、任意整理後にクレジットカードを作る予定がある場合には、そのクレジットカードの申請は審査で落とされる可能性が高いでしょう。

前述したように、任意整理すると信用情報機関に事故情報として登録されることになりますから、新しくクレジットカードを作ろうと思ってもクレジットカード会社が信用情報機関に照会を行い任意整理をしたという事故情報が明らかとなります。

当然、過去に契約通りの返済ができなくなって任意整理を行った人にお金を貸すのはリスクがあると判断されるでしょうから、クレジットカードの申請は却下されるでしょう。

そのため、任意整理をした場合には、その任意整理で和解した借金の弁済期間が終了しすべての借金を完済してから5年が経過するまでの間は新たにクレジットカードを作るのはほぼ不可能と思った方が良いかもしれません。