夫婦の一方が自己破産すると他方の配偶者に影響が出る?

(※画像はイメージです。本文の内容とは一切関係ありません。)

夫婦の一方が自己破産する際に気になるのが、自己破産しないもう一方の配偶者にどのような影響が出るのか、という点です。

例えば、夫が自己破産する場合には妻に、妻が自己破産する場合は夫にどのような影響が出るのかという点は、結婚している債務者であれば誰しも心配になるところでしょう。

では、実際に夫婦の一方が自己破産する場合、夫婦のもう一方には何か影響が出ることがあるのでしょうか?

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基本的には夫婦の多方に影響は生じない

結論からいうと、夫婦の一方が自己破産する場合であっても、夫婦の多方に影響が発生することは”基本的には”あり得ません。

なぜなら、破産法で規定されている破産手続きは、個人が申し立てる場合はその申立人となる個人の資産と負債を清算手続きであって、自己破産の手続きをしない配偶者の資産と負債は全く影響を受けないからです。

たとえば、夫が自己破産する場合には破産手続きで精算されるのは「夫の資産」と「夫の負債」であって、「妻の資産」と「妻の負債」は全く別のものとして扱われることになり、その逆に妻が破産する場合は「夫の資産」と「夫の負債」は妻の自己破産手続きとは全く切り離されて扱われることになるのです。

このように、個人が自己破産する場合は、その自己破産の申し立てをする「個人」の資産と負債が手続きの対象とされるにすぎませんから、基本的には自己破産しない配偶者には何ら影響は生じないといえるのです。

ただし、例外的に影響が生じる場合もあり得る

前述したように、個人に関する破産手続きは申し立てをするその個人についての資産と負債を清算する手続きにすぎませんから、自己破産しない他方の配偶者は一切影響を受けないのが基本的な取り扱いとなります。

もっとも、それはあくまでも”基本的には”そういう扱いを受けるというだけであって、一定の場合には夫婦の多方に影響が生じる場合もあり得ます。

(1)資産隠しが疑われる場合

夫婦の多方に影響が生じるケースで代表的なのは、資産隠しが疑われる場合です。

自己破産の手続きは債務者の「資産」を裁判所が取り上げて換価し、換価代金を債権者に配当するための清算手続きでもありますから、自己破産を申し立てる債務者の資産はすべて裁判所に申告し、裁判所(または破産管財人)の処分にゆだねる必要があります。

しかし、自分の財産を少しでも残したいと思う債務者の中には、裁判所に申告すべき資産があるにもかかわらず、申立書に記載しなかったり、裁判官や破産管財人の調査に対して「資産はない」と回答して資産隠しを図る人が少なからずいるのが現実です。

このような「資産隠し」が夫婦間で行われた場合には、自己破産の申し立てをしない夫婦のもう一方の配偶者の資産が影響を受けることはあるでしょう。

たとえば、夫が自己破産する場合に申し立て前に夫名義の自動車を妻の名義に変更したり、夫名義の銀行口座から妻名義の銀行口座に預金を振替するようなケースでは、資産隠しと判断されて妻名義になった車や預金が裁判所に取り上げられることは避けられないと考えたほうが良いと思います。

(2)形式的に自身の資産を夫婦の他方名義にしていた場合

前述したように「資産隠し」が疑われる場合は夫婦の一方が自己破産する場合に夫婦の多方の資産が影響を受ける場合がありますが、この道理は「資産隠し」のように「故意」に資産を画した場合だけでなく、たまたま「資産を夫婦の他方の名義にしていた」ような場合にも当てはまります。

たとえば、夫の名義の資金で購入した自動車を妻が利用することが多いため妻の名義にしていたり、夫の資金で購入した土地や建物を税金対策で妻の名義にしていたような場合です。

このような場合、借金が返済不能になるより前の段階で夫婦の他方の名義にしていたわけですから、その「本来の所有者以外の名義にしていた」という点に問題があるにしても「資産隠し」ということには当たりません。

しかし、それが「資産隠し」に該当しないとしても、「夫の資金で購入した自動車」は「夫の資産」であって「妻の資産」ではないですから、形式的には「妻の名義」になっていたとしてもその自動車は夫の自己破産手続きで「夫の資産」として扱われ裁判所に取り上げられてしまうのは避けられないと考えられます。

また、「夫の資金で購入した不動産」についても仮に形式的に「妻の名義」とされていても実質的には「夫の資産」と判断されますから、夫の自己破産手続きでは「夫の不動産」として取り扱われるのは避けられないでしょう。

このように、「資産隠し」には当たらなくても、その実質的な所有権が自己破産する夫婦の一方にある場合には、形式的に夫婦の多方の名義にされている資産があったとしても、その自己破産しない夫婦の他方の資産は影響を受けることになるのが通常です。

(3)共有名義の財産がある場合

夫婦の共有になっている財産がある場合にも、夫婦の一方が自己破産する場合に夫婦の多方が影響を受ける場合があります。

たとえば、夫婦が所有している自宅の名義が夫(2分の1)妻(2分の1)の共有名義になっているような場合です。

このようなケースで夫が自己破産すると夫名義になっている自宅の「2分の1」の所有権が裁判所に取り上げられて換価され換価代金が債権者への配当に充てられることになりますが、他人の自宅の「2分の1」の所有権が競売にかけられても購入する人は普通いませんので、その夫名義の「2分の1」の所有権がどのように換価されるのかが問題となります。

このような場合、ケースにもよりますが、自己破産しない妻に競売や任意売却で購入してもらうとか、妻の所有する「2分の1」の所有権の所有権もまとめて任意売却の対象として売却し、その売却代金のうち半分を債権者への配当に充てて残りの半分を妻が受け取るなどといった処理がなされると思いますから、そういう取り扱いを受ける場合は自己破産しない妻が所有する自宅の「2分の1」の持ち分も少なからず影響を受けてしまうことは避けられないといえます。

このように、夫婦の一方が自己破産する場合に夫婦で共有する資産がある場合は、自己破産しない夫婦の一方の資産も影響を受けることがあるので注意が必要と言えます。

(4)保証人になっている場合

夫婦の一方が自己破産する場合において、他方の配偶者がその自己破産する一方の保証人や連帯保証人になっているような場合は、その自己破産しない配偶者も影響を受けることは避けられません。

保証人(連帯保証人含む)は、主たる債務者が借金を返済しない場合に代わって返済することを約しているわけですから、主たる債務者が自己破産するのであればその保証人に一括請求がなされることになるのは当然だからです。

もっとも、夫婦間で保証人になっているような場合には、夫婦そろって自己破産するのが通常でしょうから、夫婦間における保証の影響が問題になるケースはあまりないのではないかと思いますが…。

最後に

以上のように、日本では夫婦による固有財産が認められていることから、夫婦の一方が自己破産する場合に自己破産しない他方の配偶者に影響が生じることは基本的にはないといえますが、一定の場合には自己破産しない他方の配偶者にも資産等に関して影響が生じる場合もあるといえます。

ですから、夫婦の一方が自己破産しなければならない状況に追い込まれている場合には、早めに弁護士や司法書士に相談し、他方の配偶者にどのような影響が生じうるのか、また他方の配偶者に影響が生じる可能性がある場合はどのような処理をすれば影響を最小限に抑えることができるのか、といった点を十分に検討しておく必要があるのではないかと思います。

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