任意整理は郵送や電話だけで弁護士や司法書士に依頼できる?

借金の返済が困難になった場合は、任意整理など債務整理の手続きを行って適切に対処することが求められます。

この点、一般的にはまず弁護士や司法書士に相談をして、利息の再計算によっても残ってしまう債務を任意整理の手続きで処理するのが通常の処理方法になると思われます。

ところで、このように任意整理で借金を処理する場合には、まず最初に弁護士や司法書士に相談することが必要となりますが、その際、弁護士や司法書士事務所に出向くことなくメールや電話、郵送だけで任意整理の処理を依頼することはできるのでしょうか?

自宅や勤務先の近くに弁護士や司法書士事務所がなかったり、自分が依頼したいと思う事務所が遠方にある場合には、実際に弁護士や司法書士の事務所に出向くのが困難なケースもあると考えられるため問題となります。

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郵送で依頼できるかはその事務所の方針による

結論からいうと、郵送やメールだけで任意整理(債務整理)の依頼を受けてくれるかは、その相談する弁護士や司法書士事務所の方針によって異なります。

その相談しようとしている弁護士や司法書士の事務所が「メールや郵送での依頼も受け付けますよ」と告知している事務所では依頼に応じるでしょうし、そうでない事務所では実際に事務所に来所する場合でないと依頼を受け付けてもらえないでしょう。

弁護士や司法書士は法律(犯罪収益移転防止法)で依頼者の本人確認が義務付けられますが、その本人確認は必ずしも対面が義務付けられるのではなく、法律で定められた本人確認が可能であるならば郵送やメール、その他にもたとえばスカイプなどのテレビ電話を利用したりする方法も存在しますから、弁護士や司法書士によっては対面での面談にこだわらないところも多くあります。

一方で、本人確認を厳密に行いたい事務所では対面での確認ができない限り依頼を受けないというところもあるでしょう。

このように、弁護士や司法書士の事務所によって本人確認のレベルも様々ですから、郵送やメールなどでも本人確認に差し支えないと考えている事務所では、実際に来所して相談しなくても、任意整理(債務整理)の依頼を受けてもらうことは可能といえます。

郵送等で弁護士や司法書士に任意整理(債務整理)を依頼する場合の注意点

前述したように、その依頼しようとしている事務所が郵送や電話、メールでの依頼を受け付けている事務所であれば、実際にその事務所に出向くことなしに書類の郵送や電話やメールの応対だけで任意整理を依頼することも可能です。

もっとも、郵送や電話・メールだけで依頼する場合には、実際に弁護士や司法書士と対面する機会を失うことになりますので次のようなことに若干注意する必要があります。

(a)弁護士や司法書士の人間性が分かり難い

郵送や電話・メールだけで依頼した場合には、その依頼する弁護士や司法書士と実際に会う機会が全く無いか、会う機会も限られてしまうことになりますから、どうしても弁護士や司法書士の人となりや人間性を把握することに限界ができてしまいます。

郵送や電話・メールだけで依頼した場合であっても、電話などで話す機会は比較的多くあり、その弁護士や司法書士の人となりや人間性もある程度判断出来ると思いますが、対面の場合と比較するとその程度も低くならざるを得ないと思いますので、その点は妥協するしかないと思います。

(b)事務所の手違いで家族バレする可能性もゼロではない

任意整理など債務整理の手続きを行う場合は、弁護士や司法書士の事務所との間で書類等のやり取りが必要になることもありますが、郵送や電話・メールだけで依頼した場合には、弁護士や司法書士事務所との書類のやり取りも全て郵送で行われることになります。

この点、家族にバレないように処理したい場合は、事務所に出向くことができるのであれば事務所に足を運んで書類のやり取りをすることが可能ですが、事務所に出向くことができないのであれば郵便局で受け取る「局留め」の方法などを利用するしかありません。

しかし、弁護士や司法書士の事務所の事務員も人間ですから、単純なミスで誤って自宅に郵送してしまうことも可能性としては否定できませんので、その場合には家族にバレてしまうことも無いわけではないということになります。

▶ 任意整理は郵便物で家族にバレることがあるか?

(c)借金の整理をしたという認識がないまま終わってしまう

郵送や電話・メールだけで依頼した場合には、弁護士や司法書士としても長々と話をするわけにはいかなくなりますから、必要最小限の話をするだけで、あとは事務的な連絡だけで終始する事にならざるを得ません。

対面で相談する場合には弁護士や司法書士としても依頼人に対して注意すべき点は注意し、家計の改善が必要な場合はその点もある程度細かく指導してくれるかもしれませんが、郵送やメール・電話だけで依頼した場合には、そのような細かな指導は期待できないでしょう。

そのため、郵送や電話・メールだけで依頼した場合には、自分が「借金を整理した」という認識がないまま手続きが終了してしまう可能性があります。

このように、自分が「借金を整理した」という認識がないまま借金のトラブルから解放されてしまうと、「借金は簡単に解決できる」と甘い考えだけが残ってしまい、再び借り入れを繰り返して多重債務に陥ってしまう可能性もあるかもしれません。

郵送や電話・メールだけで依頼することは大変便利ですが、実際に弁護士や司法書士と対面しない分、弁護士や司法書士から厳しく指導を受けるという機会を失い、多重債務に陥った原因を真摯に考えるという機会を得られないことになりますので、その点は十分認識し、自分自身で反省する点は反省するという姿勢を忘れないよう気を付けなければならないのではないかと思います。