自己破産すると医療費や医療ローンも免責の対象となる?

自己破産が裁判所で認められ、免責(借金の返済が免除されること)の決定が出されると、自己破産の手続きが開始されるまでに発生した全ての負債(借金)の返済が法律的に免除されることになります。

この「自己破産の手続きが開始されるまでに発生した負債」とは、消費者金融などの貸金業者やクレジット会社からの借金だけでなく、他の一般の負債も含まれることになりますので、例えば車の修理代金や近所の酒屋の代金の未払分、行きつけのスナックに溜まっている”ツケ”なども、自己破産の免責が認められればすべて支払いの義務から逃れることができます。

一方、税金や健康保険料、国民年金の滞納分などいわゆる公租公課に含まれるような”公的な負債”については、自己破産によっても免責の対象とならないことになっていますので、これらの公的な負債を滞納している場合には、自己破産をしてもその滞納分の支払いを逃れることはできないといえます。

ところで、自己破産を検討している多重債務者の中には、医療費や歯医者の代金を滞納している人も少なくないと思われますが、このような医療費や歯医者の治療費などについても自己破産で免責の対象となるのでしょうか?

また、美容整形専門の医院やインプラント治療を行う歯科医院など一部の医療機関では、医療費を分割で支払う「医療ローン」を取り扱っているところもあると思いますが、そのような医療ローンの延滞分についても自己破産の免責の対象とすることはできるのでしょうか?

病院や歯科治療に関する医療費は、その一部が保険の対象として支払われていますので、公的な負債として自己破産の免責の対象とならないのではなないかという疑問が生じるため問題となります。

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医療費も自己破産の免責の対象となる

結論からいうと、医療費であっても自己破産の手続きを行えば免責の対象となり、その全ての請求から逃れることが可能です。

健康保険が適用される医療費の一部は健康保険から支払われますが、医療機関に支払わなければならない医療費(一般の債務)と、自治体に支払わなければならない健康保険料(税金等の性質を持つ公租公課)とはまったくその性質が異なります。

そのため、健康保険料の滞納分については自己破産の免責の対象となりませんが、医療機関に支払わなければならない医療費は一般の債務と同様に自己破産の免責の対象となるのです。

医療ローンであっても自己破産の免責の対象となる

医療ローンについても同様に、自己破産の申立を行えば、その全てのローンが免責の対象となります。

医療ローンはたいていの場合クレジット会社が医療費を立て替えるものですので、その実質は一般のショッピングで商品をローンで購入した場合と何ら変わりありません。

ですから、医療ローンも通常のクレジット会社からの債務と同様に、自己破産の申立を行えばその全ての請求から逃れることが可能といえます。

健康保険の適用の有無にかかわらず、自己破産の免責の対象となる

以上のように、医療費や医療ローンに関する負債であっても、自己破産の手続きによって免責を受けることは可能です。

なお、これは健康保険が適用される医療行為か、保険の適用がない医療行為かの区別にかかわりなく、免責の対象となるということを意味します。

健康保険の対象となる一般診療で発生した医療費の未払い分についても当然、自己破産の手続きによって免責を受けることはできますし、一部の美容整形やインプラント治療など保険の適用外となっている医療費についても、自己破産の手続きで裁判所から免責が出されれば、その全ての支払いを免除されることになります。

最後に

このように、自己破産の手続きでは医療費や医療ローンであっても免責の対象とすることができますので、医療費や医療ローンの支払いが困難になっている場合は、速やかに弁護士や司法書士に相談して自己破産を検討することも必要でしょう。

医療費や医療ローンの支払いに困窮し、無理を重ねてさらに病気を悪化させるというのでは全くの本末転倒となりますので、支払いを厳しく感じた時点で早めに弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。