債務整理で凍結した銀行口座はいつになったら復活するの?

債務整理には裁判所に申立を行う自己破産や個人再生、特定調停と裁判所に申し立てをしない任意整理の4つがありますが、通常は弁護士や司法書士に依頼して代理人となってまたは必要書類の作成をしてもらって処理してもらうのが一般的です。

この債務整理の手続きで厄介なのが、債権者に銀行や信用金庫などのカードローンが含まれている場合です。

なぜなら、銀行や信用金庫の借金を債務整理の対象としてしまうと、弁護士や司法書士から通知(受任通知)が届いた時点ですぐに預金口座が凍結されてしまうからです。

最近は銀行や信用金庫も積極的にカードローンを広告していますので、銀行や信用金庫のカードローンを利用している人も多いと思いますが、銀行や信用金庫のカードローンであっても年利14%程度を取るところがほとんどです。

そのため、借り入れの金額によっては返済に窮することになり弁護士や司法書士に債務整理を依頼する人も多くなっているのではないかと思われますが、銀行や信用金庫からの借り入れを弁護士や司法書士に依頼して債務整理してしまうと、その銀行や信用金庫の預金口座が凍結されてしまうことになります。

銀行や信用金庫がなぜ預金口座を凍結させるかというと、自己の支店に預金口座を開設している利用者がカードローンなどを利用している場合に借金の返済をストップして弁護士や司法書士に債務整理を依頼した場合には、その預金口座を凍結させて出金させないようにし、借金額の残額と相殺させるためです。

たとえば、A銀行のB支店に預金5万円を預けているXさんがA銀行のカードローンで15万円を借りている状態で債務整理を弁護士に依頼した場合、その弁護士が「債務整理の依頼を受けましたよ」という受任通知をA銀行のB支店に送付した時点でA銀行のB支店はXさんの預金口座を凍結させ、預金として預けられていた5万円をカードローンの残額15万円の返済に強制的に充当することになります。そうするとカードローンの残額は5万円減少して残り10万円となります、その10万円を債務整理の対象として弁護士が処理するということになります。

ところで、ここで疑問が生じるのが、凍結された銀行口座はいったいいつまで凍結され続けるのかといった点です。

銀行口座はお金の預け入れだけでなく、給料の振り込みや光熱費の引き落としなどに利用するのが通常で生活に不可欠なアイテムとなっていますので、口座が凍結された場合にその口座は復活するのか、また復活するとすればいつになれば再び利用することができるのかといった点が問題となります。

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口座凍結後すぐに保証会社から代位弁済がなされる

銀行や信用金庫からの借り入れについて債務整理が行われる場合、預金口座が凍結されて預金残高と借金の残額が相殺されると、そのあとすぐに保証会社から「代位弁済」が行われることになります。

「代位弁済」とは、借金の返済ができなくなった債務者の代わりに保証会社が一括して借金を代わりに支払うことをいいます。

銀行や信用金庫からカードローンでお金を借りる場合、そのカードローンには契約上保証会社が関与しているのが一般的で、保証会社はカードローンでお金を借りる消費者の借金を「保証」するのが業務ですから、カードローンの利用者がローンの返済をしない場合には保証会社が利用者に代わって一括返済することになります。

前述の例でいうと、A銀行のB支店に預金5万円を預けているXさんがA銀行のカードローンで15万円を借りている状態で債務整理を弁護士に依頼した場合、その弁護士が受任通知をA銀行のB支店に送付した時点でA銀行のB支店はXさんの預金口座を凍結させ、預金の5万円とカードローンの残額15万円を相殺することになりますから、その残額10万円が弁護士が債務整理で処理することになります。

この場合、A銀行は預金の残額と相殺したあとすぐに保証会社(通常は銀行の関連会社が保証会社となっている)に対して代位弁済の請求をしますので、カードローンの残額10万円が保証会社からA銀行に送金されることになり、A銀行の債権は消滅することになります。

そして、A銀行の保証会社がXさんに代わってA銀行に返済を行っていますのでXさんがA銀行に負担していた借金はA銀行の保証会社に移転することになり、A銀行の保証会社がXさんに「お前の代わりにA銀行に支払ったお金を返せ」と請求(法律上はこれを求償権といいます)することになりますから、Xさんから依頼を受けた弁護士はA銀行ではなくA銀行の保証会社との間で債務整理の交渉を行っていくことになるのです。

保証会社から代位弁済がなされると口座を凍結しておく必要性がなくなる

前述したように、銀行や信用金庫のカードローンを債務整理すると、銀行や信用金庫の預金口座は凍結されて借金の残額と相殺され、預金残高と相殺しても返済できない借金残額について保証会社から代位弁済がなされることになります。

そうすると、元々も債権者であった銀行や信用金庫は借金の全額の返済を受けたことになりカードローンの借金における「債権者」ではなくなりますから、もはや預金口座を凍結しておく必要性がなくなります。

そのため、銀行や信用金庫が保証会社から代位弁済を受けた場合には、その代位弁済を受けた後すぐに預金口座の凍結を解除するのが一般的です。

もちろん、預金口座の凍結が解除された後は、その預金口座は従前どおり入出金が可能となります。

ただし、いつ凍結が解除されるかは銀行や信用金庫によってことなる

もっとも、預金口座の凍結が解除されるといっても、その時期については銀行や信用金庫によってまちまちなので、一概にいつになったら凍結が解除されるかは断言できません。

早いところでは保証会社から代位弁済を受けた数日後に口座の凍結を解除するとこともありますが、遅いところになると自己破産や個人再生の場合には裁判所からの許可決定が出された後にならないと凍結が解除されないところもあるようですので注意が必要でしょう。

なお、口座の凍結が解除された場合には、その講座は従前どおりに使用することができますので、光熱費の引き落としや給料の振込先に指定することも可能です。