親が自己破産すると子どもが奨学金を借りられなくなる?

親が自己破産する場合に気になるのが、子どもが奨学金を借りれなくなってしまうのではないかという点です。

自己破産すると信用情報機関に事故情報として登録されることになり、その登録期間中は新たな借入やクレジット(カード)の審査が通らなくなってしまいますから、子どもが奨学金を借りる際も審査で落とされてしまうのでないか、という不安が生じてしまうようです。

では、実際問題として、親が自己破産すると子どもが奨学金を借りることができなくなってしまうのでしょうか?

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親の自己破産で子どもの奨学金が借りられなくなることはない

結論からいうと、親が自己破産したからといって、子どもの奨学金が借りられなくなるわけではありません。

確かに、自己破産した場合には信用情報機関に事故情報として登録されることになりますので、「親」が自己破産した場合には「親」の借入やクレジットの利用に制限が掛かることになります。

しかし、その事故情報が登録されるのはあくまでも「その自己破産の申立人」に関する信用情報に限られますから、「親」が自己破産したとしても、その「親」とは全く別人格である「子」の信用情報には全く影響を及ぼすことはありません。

「親」が自己破産したとしても「子」の信用情報に事故情報が登録されるわけではありませんから、「子」の信用情報には「その親」の自己破産に関する事故情報はまったく影響を与えることはないのです。

そして、奨学金を借りる際の「借主」はその奨学金を利用する「子」であり、「親」が借主になるわけではありませんから、「子」が奨学金を借りる際の信用情報の調査もその「子」に対してだけ行われることになり、「親」の信用情報は全く影響を及ぼしません。

したがって、「子」が奨学金を借りる際に「親」の自己破産が問題になることはなく、「子」が奨学金を借りられなくなることはないということになります。

ただし、自己破産した「親」は保証人になれなくなる

前述したように、たとえ「親」が自己破産したとしても、奨学金を借り入れる「子」に関する信用情報には全く影響を及ぼしませんから、「子」が奨学金を借りることに関してはまったく問題は生じないことになります。

ただし、奨学金を借りる際には保証人(連帯保証人)を一人ないし二人は付けることが義務付けられるのが通常ですから、その保証人を誰にするかという点で問題が生じることになります。

なぜなら、前述したとおり「親」が自己破産した場合には「親」の自己破産に関する事故情報が信用情報機関に登録されてしまいますが、信用情報機関に事故情報が登録されている場合は自分が借り入れやクレジットの申込みをする場合だけでなく、他人の保証人(連帯保証人)になる場合の審査にも通らなくなってしまうからです。

「子」の奨学金について保証人(連帯保証人)になるということは、その奨学金を借りた「子」が返済できなくなった場合には自分が代わりに返済するということを意味しますが、そうであれば融資をする側としてもその保証人に返済能力があるのかという点を審査しなければなりません。

返済能力のない保証人を付けられても、いざ奨学金を借りた本人が返せなくなった場合に保証人からも融資した奨学金の回収が出来なくなってしまうからです。

そのため、その奨学金の借入の際の審査では、その借り入れをする「子」だけでなく、保証人になることを申し入れた「親」の信用情報も審査の対象となりますから、その保証人候補者である「親」が過去に自己破産していたことが明らかになった場合には、その保証人候補者である「親」は審査で落とされてしまうでしょう。

そうすると、その「子」の奨学金の借入について保証人が付けられなくなってしまうことになりますから、奨学金の審査自体が下りなくなってしまい、「子」が奨学金を借りることができなくなってしまうことになりかねないのです。

親の一方だけが自己破産している場合は他方の親が保証人になることは差し支えない

なお、前述したように、信用情報機関に登録される事故情報はあくまでも「その自己破産の申立人」に関する信用情報に限られますから、たとえば「父親」が自己破産した場合であっても「母親」の信用情報には何ら影響を及ぼすことはありません。

ですから、「父親」が自己破産した場合にはその「父親」は子どもの奨学金の保証人になることはできませんが、「母親」が奨学金の保証人になることについては何ら問題はないことになります。

親族などに保証人になってもらうよう頼むしかない

以上で説明したように、「親」が自己破産してもその「子ども」の信用情報には全く影響を及ぼしませんから、その「子ども」が奨学金を借りることができなくなってしまうということはありません。親が自己破産しても子供が奨学金を借りることは可能です。

しかし、「その自己破産した親」はその「子ども」が奨学金を借りる際の保証人(連帯保証人)になることはできませんから、「その自己破産した親」以外の誰かに保証人になってくれるよう頼む必要があります。

通常はその「親」の兄弟や親せきなどになろうかと思いますが、前述したように例えば親の「父親」が自己破産して「母親」が自己破産していないのであれば「母親」の信用情報は全く問題ないわけですから、奨学金の保証人が一人しか求められていないのであれば「母親」が保証人になれば問題ありませんし、保証人を二人付けることが要求されている場合には「母親」がまず保証人になり、あとの一人の保証人だけを親戚などの頼むなどでも構わないと思います。